広電支部2004年春闘学習会

日本の政治情勢と年金改革について
元労働大臣 浜本万三
1.日本の政治情勢
先の衆議院選挙で民主党はやや前進したが、自・公連立政権が勝利した。二大政党対立潮流の中で、社民、共産両党は後退した。
第2次小泉内閣は、公明党の協力を得て、構造改革の推進と日米安保体制の下、アメリカの国際戦略に追従し、テロ対策の名を借りた支配政治をおしすすめている。
(1)構造改革と国民のくらし
小泉内閣は「構造改革によって懸命に働いている人々は幸福にくらすことができる社会をつくる」といっているが、実際は中央と大企業は発展と利益を得ているが、地方と中小企業と働く人々を苦しめている。特に労働者を取り巻く情勢は悪化している。
@雇用改善といわれているが、依然失業率は4.9%、失業者は300万人、就労している人の1/4は不安定雇用となっている。
A家計収入は27万円減少。
B自殺者は3万人、内8,000人は生活苦の人である。
Cサラリーマンの負担は、健康の自己負担20%⇒30%に、年金0.9%減、タバコ、発泡酒の値上げが行なわれた。
Dその上、来年から年金、介護、医療健保制度の改悪が予定されている。
以上、働く人々のくらしは悪化し、将来不安は高まっている。
(2)テロ対策に名を借りた、アメリカ追従の反動政治によって戦争のできる普通の国にしょうとしている。
@周辺事態法
A有事3法案の成立
Bテロ対策に名をかりた自衛隊海外派兵のための特別措置法の成立
C思想的対策として、日の丸、君が代の法制化、教育基本法の見直し。憲法調査会の発足と審議
D自民党の創立50周年にむけての憲法改正準備
(民主党も来年中に創憲の立場で改正議論を行なっている)
(3)これらの政策を進めるための手法は、日本の議会制民主主義と議院内閣制を無視し、ファッショ的に行なわれている。
@二つの制度の内容について
A小泉内閣の今後の予定としては、憲法改正の中で、首相公選制と国会の一院制を考えている。
B戦前の歴史を反省すると、・・・最近の状況と戦前の行為が一致している。
2.今後のわれわれの立場と行動について
@労働組合の情勢
A当面の行動について
・組合運動としての取組み
・参議院選挙の取組み

年金改革の現状と課題
1.これまでの年金制度
@保険方式を中心にして若者が老人を支える賦課方式
A制度は、基礎年金、厚生(共済)年金、企業年金で構成されている。
B給付と負担について、負担は収入の13.58%(労使折半)給付は、現役の収入(月)の59%(40万円×59%=24万円)
2.改革の手順と基本的視点
@各種審議会で検討し、今、国会に提案し、今年の10月から一部でも実施する。国会提案までに与党で協議し、政府
案を作成する。
A改革にあたっての基本的視点(5項目)
3.2月10日決定の政府案の主たる内容について
@給付と負担について
現行保険料(13.58%)を段階的に引き上げ、13年後(2017年)に18.30%で固定させる。
(そのために今年10月から毎年0.354%づつ引き上げる)
給付は50%を確保することに合意した。
A基礎年金は国庫負担(現1/3)を5年後に1/2とする。(その費用2.7兆円である)
A.国民保険料は2005年度から毎年月額280円づつ引き上げ、2017年度以降は、16,900円とする。(現在13,300円) B.所得は応じた3段階免除制度を導入する。(2006.7)
C.過去の第3被保険者期間のうち未届期間の届出ができるようにする。(05年4月から)
Bその他の改正事項
A.2017年以降、65歳以上の老齢厚生年金に繰り下げ受給制度をつくる。(07.4)
B.60歳代前半の一律支給停止を廃止する。(05.4)
C.70歳以上は賃金に応じて年金を削減する。(07.4)
D.育児休業中の保険料を子供が3才になるまで延長する。(05.4)
E.女性と年金については、次のように改革する。
・離婚時に夫婦の年金を合意又は裁判で分割する。(07.4)
.パート労働者の年金適用は法施行後5年を目途に検討することを付則に明記する。
F.受給者に負担をかける税制改革として
@20%の定率減税の廃止
A特別扶養控除の廃止(38万円)が考えられる。
4.社会保障制度の意義について
国民が尊厳をもって、自立した生活を営むため、老後、病気、失業に備えることによって、自身をもって生活することができ、また、日本の活性化を促進することができる。
5.今後の取組みについて
制度を安全・安心なものにすることが大切である。
年金は、特に労働者にとって大切な社会保障制度のひとつである。
